2011年3月11日金曜日

アメリカの幼児教育~デイケア編~

 アメリカでは幼稚園(Kindergarten、通常5~6歳)から12年生(12th Grade、通常17~18歳)までを公教育としている。幼稚園以前の教育は義務ではない。しかしEarly Childhood Education(幼児教育)というシステムに基づき、子供は通常3歳から幼稚園に入園する5歳まで、PreschoolやNursery Schoolと呼ばれる未就学児向けの保育園に通う。授業時間は一日、午前か午後に2時間半~3時間。週2日、週3日、週5日プログラムと、選択できる。義務教育ではないため、大概の施設は有料だが、地域によっては地方政府の予算で運営され、幼稚園教育の一環として無料の施設もある。
 
 両親が仕事を持つ場合は、授業時間の短い保育園の代わりにデイケアで一日を過ごす子供も多いが、デイケアでも3歳くらいからは保育園と同様のカリキュラムを遂行している。

 我が家の長男は、2歳になる直前から4歳半までデイケアに通った。次男の誕生後、私が専業主婦に転換してからは、自宅付近の教会に隣接されている保育園(プレスクール)に通っている。

 ということで、今回はアメリカのデイケアについて紹介したい。
 デイケアには、基本的に両親が仕事を持つ子供が多く集まるため、開園時間などの内容もそれに伴ったものとなっている。時間は早ければ早朝6:30から、遅くて夕方6:30まで。中には早朝や夕方遅くまでのケアを必要とする場合は延長時間料が追加されるが、我が家の長男が通っていたデイケアは延長料なしで、6:30~6:30まで子供を預けることができた。また、預けられる年齢も生後6ヶ月の乳幼児から、と極めて早い。

 一日のカリキュラムは、歌、お絵かきやクラフト、読書、アルファベットと数字の練習、手話、外遊びなど。歌やゲームなどは、子供がみんな輪になって座り、先生の指示に従う「Circle Time」というメソードで学ぶ。また、ヒスパニック人口が多いアメリカだけに、スペイン語は子供のうちから学んでおり、デイケアでも積極的にカリキュラムに取り入れられている。我が家の長男は、日本語よりもスペイン語のほうを多く知っているくらいだ。昼食後は、昼寝の時間が設けられる。多くの施設には、庭に簡単なプレイグランドが付いており、外遊びの時間になると子供がそこで遊べるようになっている。

 食事はデイケアによって付く場合と付かない場合があるが、うちの場合、朝食、昼食、おやつが付いた。メニューはさすがアメリカン!朝食にはベーグル、パンケーキ、フレンチトーストにフルーツ。昼食にはホットドッグや、ピザ、チキンナゲット、パスタにコーンやほうれん草などの副菜とフルーツ。おやつはクッキーやクラッカーにフルーツといった具合だ。

 一つ一つの行事に手間隙をかけるのは、アメリカならでは。誕生日になると、誕生日を迎える子供の親がクラス分のカップケーキを持参し、おやつの時間にクラスでお祝いをする。中には、クラスメート一人ひとりに「Goody Bag」を用意する人もいる。「Goody Bag」とは、誕生日を一緒に祝ってくれた友達に感謝の意味をこめてお菓子やら簡単なおもちゃやらを詰め込んだお土産袋だ。

 このほか、バレンタインパーティ、感謝祭パーティ、クリスマスパーティ・・・と行事ごとにパーティが催され、親は分担してフルーツやらお菓子やらお皿やナプキンやらを持参する。

 時には「Field Trip」、いわゆる遠足に出かけることもある。遠足といっても近場の農家や動物園などに限られているが、スクールバスで出かけなければならないこともあり、全ての遠足は親の同意が必要だ。遠足の予定が発表されると、同意書へのサインが求められる。これも全てにサインを求めるアメリカらしいところだ。遠足を希望せずにデイケアに残るか、希望するが親がその場所まで送り迎えするか、スクールバスに乗って出かけることを了承するか(その場合はチャイルドシートをデイケアに置いておく)、など選択することができる。

 コストだが、こういった内容で週5日預ける場合、ニューヨークでは1ヶ月1,000ドル前後かかる。子供が2人いる場合は、2人目の費用が10%ディスカウントしてくれる場合もあるが、決して安い値段ではない。

 アメリカのデイケアは、施設数が多く、託児年齢も早くから可能で、入園まで順番待ちだとしても日本に比べたら、それほど難しくはない。しかしコストの高さが問題となり、仕事を諦めざるを得ない母親が少なくない、というマイナス面も併せ持っている。

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